経済心理学 psychology of economic behavior 2004 8 25
つい数か月前は、
株式市場は、アメリカの金利引き上げについて、一喜一憂していましたが、
今は、誰も気にする人はいなくなりました。
今度は、株式市場は、原油相場に、一喜一憂するようになりました。
まるで、ファッションの流行のようなものです。
こうしてみると、やはり、経済心理学というものが必要だと思います。
こういうことは、会社で、よくありますね。
たとえば、会社に、Aさんという美人がいました。
Aさんは、みんなから注目を集めていました。
ところが、4月に、Bさんという新入社員が入ってきました。
Bさんも美人ですが、客観的に見れば、やはり、Aさんの方が美人です。
しかし、注目は、Bさんに集まってしまいました。
Aさんは、「私の方が美人なのに、なぜ」と思いました。
合理的な判断をすれば、Aさんになるのでしょうが、
見飽きた美人のAさんよりも、Bさんの新しさに注目が集まるのです。
このように、人間というものは、合理的な行動はしないのです。
そういうわけで、経済心理学も必要になってくるのです。
たとえ話 allegorical story 2004 5 21
仏教には、「蛇縄麻」という教えがあります。
大昔は、街灯がなかったので、
日が暮れる頃には、真っ暗となります。
こうした夜道を、一人で歩いていると、
普通の人は、心細くなります。
ある人が、こうした夜道を、一人で歩いていると、
道に、何かがあると気づいて、不安げに見てみると、大きな蛇だった。
そこで、その人は恐怖に捕らわれて、逃げ出すように走り出した。
さて、次の人が、同じ道を歩いていると、
道に、何かがあると気づいて、よく見てみると、太くて長い縄だった。
どうして、こんなところに、縄が落ちているのだろうかと思った。
さらに次の人が、同じ道を歩いていると、
道に、何かがあると気づいて、よく見てみると、麻で編まれた縄だった。
この縄は、麻で作られていると分析した。
「蛇縄麻」とは、「蛇」と「縄」と「麻」のことです。
客観的に見れば、「縄」という物体があるだけです。
しかし、恐怖に捕らわれた人には、「蛇」に見え、
平静心がある人には、「縄」に見え、
知恵がある人には、「麻」で編まれた縄に見えるのです。
この話を聞いて、
「縄を、蛇と勘違いするなんて、愚かなことだ」と思うでしょう。
しかし、誰でも、同じようなことをやっているのです。
たとえば、最近、よく話題になる「金利上昇懸念」があります。
「金利上昇」という言葉を聞いただけで、おびえてしまう人がいます。
次に、「金利上昇」という言葉を、冷静に受け止める人がいます。
さらに次に、過去の「金利上昇のパターン」を調べ、
今回の金利上昇を予測し、
それほど、金利上昇は心配することではないと判断する人がいます。
何が言いたいのかというと、
いたずらに、恐怖心に捕らわれてはいけないということです。
恐怖心を感じるならば、その恐怖を分析することです。
そうすることで、恐怖は、消えます。
このように、「恐怖心の克服」は大切なことです。